小児科外来診療料(包括)と出来高払い
更新日:2024/09/29
小児科外来を受診すると渡される明細書に医療費の内容が書かれています。患者が6歳未満だと小児科外来診療料(包括)と出来高払い(出来高)という2種類があり、明細書が診療料だけなら包括で、初診料・処方箋料・検査料・診断料と書かれていれば出来高です。
小児科標榜している医療機関は、外来診療で受け取る保険収入(売上)を計上する仕組みを選びます。包括を選択したら初診と再診の基本点数(売上)が定額で出来高よりも金額が高いのですが、検査・処置をしても上乗せが無いので検査・処置は必要最小限になります。出来高を選択したら必要な検査・処置は躊躇わずにすることになります。
小児科を1番に標榜している医療機関だけでなく、内科で小児科を2番目以降に標榜している医療機関も包括を選べて、大半の医療機関は包括を選んでいます。
医療制度に包括が始まったのは、医療費抑制という国の基本的な方針からです。小児科の外来患者は風邪とかが多く、検査の必要な患者が少なく、採血は難しいし、検査を嫌がる子どもが多いので包括の方が得ですよ、それで不必要な検査・処置が減るので医療費抑制になりますよということです。
平成8年から小児科の包括は3歳未満を対象に始まりました。平成9年に春木で最初のあぶみクリニックを開院してしばらくして包括を1年ほど選びましたが、当時から迅速検査やアレルギー検査を結構やっていたので本当はどちらが得なのか調べてみました。すると年間で100万円以上包括だと損をしていることが判明しました。それ以来、私は一貫して出来高です。包括を選んでいた頃は、検査を依頼される度に「できるだけ検査はしたくない」という気持ちが湧いていました。出来高に戻したら気持ちがスッキリしたことをよく覚えています。小児だと本人は嫌がるし、大人と比べたら面倒が多いので、利益を求めて不必要な検査をするのかというと、調べないと分からないことが多くて不必要な検査など無いというのが私の実感です。小児ではアレルギー検査の項目も感染症の迅速検査の種類も増えていて、当時よりも検査をすべき患者は増えています。包括を選ぶというマインドは私には皆無です。どちらを選ぶかは毎月選べて同月はどちらかで統一するので、検査の少ない夏場は包括、インフルエンザなどの検査の必要性が高い冬場は出来高を選ぶと良いと知り合いの小児科医から勧められたことがありますが、決心は揺らぎません。
どこの小児科をかかりつけにしようかと考えている保護者は、ホームページで確認してから、まずは一度受診してみて、予約、家からの距離、駐車場、先生とスタッフ、建物、子どもの反応などから全体的な印象で次からの医療機関を選ばれるでしょう。子どもの病気は様々で、本当に受診が必要なレベルの診察なら検査・処置が必要な場合が多いのが実情です。
かかりつけの小児科で感染症やアレルギーなどの検査を依頼して医者が渋るのなら、その小児科は間違いなく包括です。次の受診は出来高の小児科を考慮してください。