小児科医は最初の医者に、内科医は最後の医者になりたがる
更新日:2020/07/15
「男は愛する女の最初の男になりたがり 女は愛する男の最後の女になりたがる」という有名な言葉があります。男女の恋愛観の違いを言い得ていますが、男女の生物的な違いから繁殖戦略上こうする方がそれぞれに有利だということです。イギリスの劇作家のオスカー・ワイルドの言葉です。
「小児科医は患者の最初の医者になりたがり、内科医は患者の最後の医者になりたがる」は、オスカー・ワイルドの言葉に倣った私のたとえ話です。小児科医が男らしくて内科医が女っぽいという話ではありません。
内科の患者はあちこちの医者にかかってから、一番自分に合う医者をかかりつけ医にするということになり、以後、死ぬまでお付き合いするということになります。内科の患者は年を取るに従い病気で医者にかかる機会が増えるので、初めの頃に診てもらっていた医者よりも最後の医者、すなわち、かかりつけ医に診てもらう機会が一番多くなります。内科医にとって多くの患者の最後の医者になるということは、患者数を確保するということになり、医師としてやっていくには有利なのです。
小児科の場合は保護者に決定権があり、あちこちの医者にかかってからかかりつけ医を決めようとする人もいますが、子どもの病気は待てないことが多いので、あちこち行く余裕がなく、さっさと行き先を決めねばならないものです。最初に当たった小児科医に満足したら、そのまま、かかりつけの小児科医にしてしまいます。子ども時代は短くて小さいうちに大半の病気に罹ってしまい、小児科を受診してくれる期間はこども医療証のある間ぐらいしかなくて、小学生くらいになると診てもらう機会が急激に減ることになります。小児科医にとって多くの患者の最初の医者になるということが、患者数を確保するということになり、医師としてやっていくには有利なのです。
私は最初の医者になりたがる小児科医なので、産科を退院された赤ちゃんがワクチンや診察で最初に診察室に来てもらえたら、正直言って嬉しいです。「初診、忘れるべからず」などと、心の中で叫んでしまいます。
2015.6.20
あぶみクリニックとあぶみ小児科クリニックの2つの診療所の行き来で、忙しすぎて書けてなかったブログページですが、これからは、日常の気づいたことや普段話していることなどを中心に書いていきますので、よろしくお願いします。